古代エジプトでは、王や将軍たちは馬が引く馬車に乗って弓矢などを使って戦っていました。その馬は、中央アジアに生きていた野生の馬を飼い慣らしたものです。兵士たちは、徒歩で移動していましたが、王や将軍たちは、戦場から戦場へ、馬で高速に移動していたようです。このことによって、古代エジプトの王国は、周辺の国々を併合して、巨大な王国になっていったと考えられています。この馬を使った戦いは、少しずつ進歩を続け、5千年近くの間、人類の最も重要な方法でした。17世紀にスペイン人がアメリカ大陸に渡り、数百人の兵士で、数十万人の現地の、メキシコのマヤ文明やペルーのインカ帝国を滅亡させた原因は、鉄製の武器、鉄砲、現地にはなかった病気、そして馬であったと言われています。ナポレオンの軍隊も、指揮官であるナポレオンは、馬に乗っていましたが、普通の兵士たちは、徒歩で移動していました。

ジャレット・ダイヤモンド、「銃・病原菌・鉄（上・下）」（2010年）、草思社文庫